家づくりを成功させるために最も重要なことは、住宅展示場へ行ったり、資料請求をしたりする前に、まず「家族の軸」をしっかりと定めることです。ここがブレてしまうと、営業担当者の提案や魅力的な情報に振り回され、本当に自分たちが望む家から遠ざかってしまいます。最初の1ヶ月で取り組むべき、思考の整理術をご紹介します。
STEP1:まずは家族の「理想の暮らし」を言語化・可視化しよう
家は目的ではなく、あくまで「理想の暮らし」を実現するための手段です。まずは、新しい家でどんな生活を送りたいかを、家族全員で具体的に話し合うことから始めましょう。
1.家族会議を開く
「どんな家に住みたい?」ではなく、「新しい家でどんなことをしたい?」という質問から始めると、具体的なイメージが湧きやすくなります。例えば、「週末は友人を呼んでホームパーティーがしたい」「家族で並んで料理ができる広いキッチンが欲しい」などです。
2.「絶対条件(Must)」と「希望条件(Want)」を書き出す
話し合った内容を、「これだけは絶対に譲れない」という絶対条件と、「できれば実現したい」という希望条件に分けてリストアップします。このとき、「なぜそれが必要なのか?」という理由も一緒に考えると、本質的な要望が見えてきます。
3.理想を「ビジョンボード」で共有する
雑誌の切り抜きやインターネットで見つけた好みの写真などを1枚のボードに貼り付け、家族の理想のイメージを視覚的に共有する「ビジョンボード」を作成するのもおすすめです。これにより、言葉だけでは伝わりにくい雰囲気やテイストの認識を合わせることができます。
STEP2:ブレない軸を作る!家づくりの目標設定に役立つフレームワーク
家族の理想が言語化できたら、それを具体的な「目標」に落とし込みます。ここでは、ビジネスシーンでも使われる目標設定のフレームワークを応用することで、計画の精度を高めることができます。
⚫︎具体的で測定可能な目標を作る「SMART原則」
SMART原則とは、目標を具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性(Relevant)、期限(Time-bound)のあるものにする考え方です。
悪い例:「明るくて暖かい、広いリビングのある家」
良い例:「【S】家族4人がゆったり過ごせる20畳以上のリビングで、【M】UA値0.5以下を達成し、冬でも無暖房で室温18℃以上を保てる性能にする。【A】総予算4000 万円以内で、【R】家族団らんの時間を大切にするという目的に沿って、【T】2年後の3月までに入居する」
このように目標を具体化することで、建築会社にも要望が正確に伝わり、計画のブレを防ぎます。
⚫︎より挑戦的な目標を管理する「OKR」
OKRは、達成したい大きな目標(Objective)と、その達成度を測る主要な成果(Key Results)を設定する手法です。より高い理想を掲げる場合に有効です。
Objective(目標):家族が心身ともに健康で、ストレスなく長く快適に暮らせる家を建てる。
Key Result 1:リビングの冬場の平均室温を22℃以上に保ち、夏場は27℃以下に抑える。
Key Result 2:シックハウス対策として、自然素材を積極的に採用し、高性能な24時間換気システムを導入する。
Key Result 3:家事動線を最適化し、現在の家事時間を1日あたり30分短縮できる間取りを実現する。
STEP3:予算内で満足度を最大化!失敗しない優先順位のつけ方
家づくりでは、すべての希望を叶えることは難しいのが現実です。限られた予算の中で満足度を最大化するためには、何にお金をかけ、何を諦めるのか、論理的な優先順位付けが不可欠になります。
⚫︎基本原則は「予算 > 土地 > 建物」の順番で考える
家づくりの意思決定における基本構造は、まず全体の「予算」があり、その制約の中で「土地」を選び、最後にその土地という条件の中で「建物」を考える、という順番です。
1.予算:すべての土台となる絶対的な制約条件です。無理のない資金計画が、将来の幸せな暮らしを守ります。
2.土地:立地や周辺環境、広さは後から変更することができません。資産価値にも直結する最重要要素です。
3.建物:土地の法規制や形状といった条件の中で、最大限の工夫を凝らして理想を形にしていきます。
⚫︎「長期的価値」と「短期的満足」を天秤にかける
優先順位を考える上で重要なのが、「後から変更できるか」という視点です。
<長期的価値(変更困難・優先度 高)>
これらは一度決めたら簡単には変えられないため、初期投資を惜しまず、慎重に検討すべき項目です。
・土地の立地、広さ、周辺環境
・建物の耐震性、断熱性、気密性などの基本性能
・家族構成の変化に対応できる基本的な間取りや動線
<短期的満足(変更可能・調整しやすい)>
これらは将来的にリフォームや交換が可能なので、予算に応じてグレードを調整しやすい項目です。
・キッチンのグレードや食洗機の有無
・壁紙や床材などの内装材
・照明器具やカーテン
⚫︎先輩たちの後悔ポイントから学ぶべきこと
注文住宅を建てた多くの人が後悔するポイントを事前に知っておくことで、優先順位付けの参考になります。以下の項目は、生活の質に直結するため、優先度を高く設定することをおすすめします。
・収納:現在の持ち物だけでなく、将来増えるものも想定し、「少し多すぎるかな?」と感じるくらい計画する。
・コンセントの位置と数:家具の配置や家電の使い方を具体的にシミュレーションし、適切な場所に十分な数を設置する。
・家事動線:「洗濯して、干して、たたんで、しまう」という一連の流れがスムーズに行えるかなどを確認する。
・採光と通風:自然光が入り、心地よい風が通り抜ける家は快適です。窓の大きさや位置は慎重に検討する。